ID 2548
ユニット名 【魔性の舞姫】サロメ
CV 佐伯 伊織
レアリティ ☆6
最大Lv 99
タイプ シーフ
属性
HP 5588 1400 6988
攻撃力 2598 900 3498
防御力 1988 500 2488
スピード 2598 600 3198
リーダースキル 天から星が落ちるまで
闇属性ユニットのスキル攻撃力を45%アップ
フォーススキル1 アラクニーマス
Lv. 10 味方単体のスキルを1つ選んで発動する。スキル後、自身に1ターン麻痺を付与。
CT 3
フォーススキル2 ラスタントス
Lv. 10 闇属性の408%全体攻撃。防御力無視。スキル後、味方全体に2ターン麻痺を付与。
CT 4
特殊能力 1の祝福[5] / 再生[強] / 2回行動キラー / [強]英雄キラー
主な入手方法 通常進化
進化・契約前 【踊り子】サロメ
通常進化
進化素材
幻獣契約1 【淫蕩の化身】サロメ
契約素材 【破者】ザファル×2、【水銀の羽】マキュラ×1、【悪魔司書】エンプシア×1、【怨念】アンドロマリウス×1、100000ゴルド
幻獣契約2
契約素材
幻獣契約3
契約素材
幻獣契約4
契約素材
幻獣契約5
契約素材
実装日 2020年5月10日
ユニット紹介 きっかけは定かではない。
しかしきっかけが解らないのであれば、
それは少女の内に最初から潜んでいたに違いない。

少女は、自身の容姿が優れていることを
幼いながらもどことなく理解していた。
それ故に自分を見つめる人々の視線について
人一倍敏感に感じ取ることができたと思う。
そして少女を見つめる視線には、
幼い子どもには理解し難い、近い表現で表すなら
”熱”のようなものが込められているのも感じとれた。

それの正体はわからなかったが、
同じ顔をした少女の妹は、その視線に身じろぎ
少女の背に隠れることが多かったことを覚えている。

そんな妹とは裏腹に少女は、
こそばゆいようでいて、幸福感に包まれるような
不思議な感覚を覚えた。

一人、また一人。
自身を見つめる視線の数が増えれば増えるほど、
その幸福感は強くなっていった。

その視線に少女が小さく微笑みかえすと
ある者は嬉しそうに食べ物や衣服を与え、
ある者は心酔するように少女の愛を請うた。

少女が求めたのはあくまで彼らの視線で
差し出された物に興味はなかったものの、
生きていく上で、さらに彼らの視線を浴びるためには
必須であると理解し、それらを受け入れた。
少女の関心を引こうと我先にと様々な物を送る中、
やがてそれは少女たちを
引き取りたいという申し出へ変化する。

おかげで姉妹は衣食住に困ることはなかったが、
その生活はどれも長く続かなかった。

少女の側から片時も離れず、
少女の気を引かせるため、
高価な物を買い与える養父に
激昂した養母が二人を追い出すのはまだいい方。
少女の肌に指を這わせるのも気にならない。

一番面倒で、困り果てたのは
少女を欲する養父の行き過ぎた欲望が家族をはじめ
使用人の命をもろとも手にかけた時である。

少女の望みは多くの者に自分を視てもらうこと。
そのためには使用人も多く、人の出入りが多い
裕福な家を選んでいたのだが。
これが裏目にでてしまうのだ。

養父の望みは少女が自身を愛してくれること。
それゆえ家に出入りする者すべてに
色目を使う少女を、養父は看過できなかった。
それに何より少女に応える者が一番許せなかった。

ただ一人のみを求める者と
自分以外のすべてを求める者。

交わることのない両者の望みの果てに
養父が最終的にとった手段は、
自身と少女以外を手にかけるという凶行だった。

家族も使用人も手にかけた養父たちは
凶器を手にしたまま少女の足元に縋り、
決まってこう言うのだ。

自分だけを視てほしい。
自分以外は視ないでほしい。

これまで同様に赤子の如く駄々をこね
泣きじゃくりながら請う養父たち。
かねて疑問に感じていた少女がふと、
なぜ? と養父に聞いてみたことがあった。
養父は咽び泣きながらこう答えを紡いだ。

じぶんをみてくれるとうれしい。
みてくれるとすごくしあわせ。
それがじぶんを「あい」しているという
あかしだから。

その言葉を聞いて、少女はすべて理解した。

これまで人々が口にする
「あい」とは何か理解できなかった。
男たちがささやく言葉に胸が踊ることもなかった。
だが、自分を視てくれる時だけは。
その時だけ少女は心から生を実感できた。

誰かに視てもらいたい。
それこそが「あい」なのだと。
これまで自身に視線を向けるのは
少女を愛していたからだと。

これまでの高揚感に対する答えを得た少女は
足元に縋る養父の頭を優しく撫でた。

『あたしはあいされたい。みんなにあいされたい。
 だからみんなからあたしを
 とおざける人はいらないの。』

その言葉を聞いた養父は、
一瞬沈黙した後、凄まじい叫び声を上げた。
絶望を余さず吐き出すような絶叫。
ひとしきり叫び終えた養父が
凶器を少女に差し出した。

少女に愛されないなんて、息が詰まる。
そんなものは耐えられない。
生きていてもしょうがない。
死にたい、殺してくれと枯れた声で紡いだ。

踵を返す少女に尚も縋り付き、
養父は少女に狂気を握らせ言った。

今ここで自分を殺さなければ、
これからも少女に付きまとい、
少女を視る者すべて殺すだろう、と。

それを聞いた少女は困ったように笑みを浮かべ、

『しかたのないおとうさま。』

手にしていた凶器を迷いもなく
養父の胸元に突き立てた。
養父はとても満ち足りた表情を浮かべ、
ゆっくり、ゆっくりと瞼をおろしていった。
目が瞼の裏へ隠れ、少女は小さく息を付いた。
やはり死の間際の視線は、生者のそれに及ばない。
久々の疲労感にまどろみ目を閉じていると、
誰かがこちらへ駆け寄ってくる足音が耳に届いた。

『……ねえさま……ねえさま……!!
 おとうさまがしんじゃうよ……!!』

少女と同じ顔をした妹が悲痛な面持ちで
養父の胸元からあふれる血を必死に抑える。
養父を何度も呼ぶが、身体から正気は失われていた。

『……それとも……もう……?』

戸惑う声が耳に届くが今はどうでもいい。
少女は自身の中から欲望が再び、
湧き上がってくるのを感じていた。
まだ。まだこんなものでは満足できない。

『ねえさま……どうして笑っているの?
 ……これは雨の音?
 ……何の……音……?』

ようやく目を開けると、妹は自身の手に
握りしめられている凶器を見つめていた。

血が一滴、また一滴と滴り落ちている。
ポタ、ポタ、と滴る雫は
まるで雨が降り始める前奏のようだ。

『……今までのおとうさま達も……
 みんな……ねえさまが……?』

妹はその答えを知ってどうするのだろうか。
血で繋がっている姉を諭すのだろうか。

しかし諭されたとして止まるのだろうか?
否。きっと止めようとする妹すらも手にかけ
少女はこの欲望に忠実に生きるのだろう。

きっとこの欲望のために
自分は生まれてきたのだから。

少女は妹の問いかけに明確な答えは与えず、
ただ。ただ、初めて心から笑みを浮かべた。

その悍ましも美しい微笑みに
答えを本能的に悟った妹はその場から逃げ去った。

妹が去った後、少女は凶器を投げ出し、
可笑しそうに笑い始めた。
視線に込められた”熱”の意味。
視つめられた時の高揚感の正体。
ようやく答えを知ることができた。

あれはすべて「あい」だった。

恍惚感に浸っていると、
騒ぎを駆けつけた人々が屋敷へ入ってきた。
その惨状に顔を顰めては、少女を見つけ
近くへ駆けつけるが。

『……きてくれて、ありがとう。
 ねえ、あたしをみてくれる?』

惨憺たるありさまにも関わらず
美しい微笑みを浮かべる少女に、
どこか退魔的な美しさを見出したのか、
人々は息を呑み少女を見つめるしかほかなかった。

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